23名46句 森山文切 選 | ||
三月にティッシュ配っている五月 | 西沢葉火 | |
雑踏に自分の影が透けていく | アゲハ | |
暖簾くぐり上司の評価してる部下 | 田原勝弘 | |
朝刊がなごみの朝をけ散らかす | 峰岡名負 | |
胃袋を掴む手作りの弁当 | ホッと射て | |
甲羅干す亀の頭を覗き見る | はな | |
母の手の大正琴が泣いている | masayoshi | |
ビル街にサヨウナラだけこだまする | 海月漂 | |
佳 作 |
心ではまだニューフェイスだと思う | 彦翁 |
春だものわたしの旬をご覧あれ | 阿部千枝子 | |
手紙には貴様と書けぬから貴兄 | 敏治 | |
正直に歩けば軋む尾骶骨 | 福村まこと | |
こんなにも息が弾んで散るサクラ | 岩根彰子 | |
人 | 水割りが水になるまで ほっといて | くに |
評:ほっておけない。いますぐ飲む。 | ||
地 | 素潜りであらかた揃う熱帯魚 | 芥子 |
評:本人には当たり前でも、実はすごく幸せな環境にいる。 | ||
天 | ありったけの言葉を使い猫になる | 尾崎良仁 |
評:猫らしくはなれそうだが、猫そのものになるには一体どれほどの言葉が必要なのだろう。 |