29名57句 森山文切選 | ||
おみくじを拾う「禿げろ」と書いてある | 斎藤秀雄 | |
週刊誌稼ぎ頭の未成年 | まさよし | |
夫逝き雑になってる皿の盛り | 田原勝弘 | |
サッカーの休憩中に日記帳 | 井戸野蛙 | |
三万で売ってきたのは虚栄心 | 琉星 | |
ポケモンを捕まえるたび減る電池 | 芍薬 | |
愛などと短絡的に泡立てる | 藤沢修司 | |
玄関にサンダル置いて夏を呼ぶ | 海月漂 | |
記念樹が伸びて私は背が縮む | 小林祥司 | |
そんな目をしてたのか席譲られる | ヨッシー | |
スマホ使える缶切りは使えない | よーこ | |
猛ダッシュ祭り露店の袋とじ | 阿部千枝子 | |
恐竜の卵をさがす旅に出る | 真島芽 | |
背のチャック見えない手錠かけたまま | 徳重美恵子 | |
麦般若ちゃっちゃとつくるレバニラ炒め | 岩根彰子 | |
紫陽花の色が秘密を持て余す | アゲハ | |
佳 作 |
もうひとりムーンドッグに生まれた子 | 西沢葉火 |
逆境もあった異国の銀細工 | 福村まこと | |
重力で潰れちまったアイウエお | くみくみ | |
じめじめとしている顔が寂ている | 阿部清明 | |
昨日まで元気であったオルゴール | 彦翁 | |
人 | 噂では繭になったと聞きました | 尾崎良仁 |
評:もうオトナになっているころでしょう。 | ||
地 | 適量へ跳び出していく塩コショウ | 畑中玉菜 |
評:カケスギの未来しか見えません。 | ||
天 | 冒険はアリスと同じ顔でする | 真島凉 |
評:ウサギの顔をした人を追いかけよう! |
月別アーカイブ: 2018年6月
第114回(2018/6/10-6/16投句分)
31名62句 森山文切選 | ||
自撮りする作り笑いのひとり旅 | 彦翁 | |
頼りないフリで上手に世を渡る | 片山かずお | |
母なる海へ落としてしまうなまたまご | ホッと射て | |
感情が外へ出たがるから困る | くみくみ | |
結果論ばかり飛び交う外野席 | 藤沢修司 | |
新しい傘は大事に取ってある | 彦翁 | |
ネックレスつければきっと主役です | 真島芽 | |
向き合って掛けぬと怖い観覧車 | 小林祥司 | |
エンジンの伴奏拒む田植歌 | 八郎 | |
父さんゴメン身体髪膚からっから | 敏治 | |
新月が見えてしまったスカイツリー | 芍薬 | |
デザートは僕の卵でいいですか | 尾崎良仁 | |
佳 作 |
思い出を綴るやませの日記帳 | 畑中玉菜 |
辞書を引くまゆげピクピク動かして | 真島凉 | |
クレヨンのみどり屋さんが大儲け | 海月漂 | |
トイレットペーパー回る電話線 | 斎藤秀雄 | |
相槌が巧みな殻つきピーナッツ | 岩根彰子 | |
人 | 七秒の黙秘自然に不自然に | くに |
評:黙秘七秒怪我一生 | ||
地 | 右の目が弱く泣くのも右目から | ヨッシー |
評:強い左目を思うと切ない。 | ||
天 | 廃業のパチンコ店に浮かぶ船 | 福村まこと |
評:ユートピアを目指して座礁してしまった。 |
第113回(2018/6/3-6/9投句分)
25名48句 森山文切選 | ||
香害に悩んでいますシャボン玉 | まさよし | |
原因は知らない方が生きやすい | 彦翁 | |
平成が終わるのにまだ起きてこない | 芍薬 | |
一線に目と目が合ってうふふのふ | 阿部清明 | |
パラサイトそっと出すほど覚悟なし | 畑中玉菜 | |
事なかれハトはカラスに刃向かわず | 敏治 | |
花菖蒲梅雨に洗われ凜と咲く | 田原勝弘 | |
アディショナルタイムにお湯を入れている | 西沢葉火 | |
さよならが配合されている出会い | 宮下倖 | |
佳 作 |
ナミアゲハ手紙みたいに来てくれた | 岩根彰子 |
守秘義務に戸惑っているバスタオル | 徳重美恵子 | |
バター塗る疑いもなくバター塗る | 尾崎良仁 | |
竜宮の宴のままに夜光虫 | 福村まこと | |
そうじゃない水の和音を壊す指 | くに | |
人 | コピー機で大量に刷る免罪符 | 海月漂 |
評:内容は吟味されない免罪符 | ||
地 | 告白の責任薔薇と半分こ | 阿部千枝子 |
評:薔薇は理不尽だと憤慨するでしょう。 | ||
天 | 枇杷の種中間試験自信あり | ヨッシー |
評:どんな問題が出るか思案中 |
第112回(2018/5/27-6/2投句分)
29名57句 森山文切選 | ||
過ぎた日の蓋をたまには開けてみる | 風間なごみ | |
同時通訳に肉声追い越され | ヨッシー | |
嘘吐きが闊歩している人の道 | 八郎 | |
約束もしていないのに梅雨がきた | 斎藤秀雄 | |
食べた分お喋りをして消費さす | 片山かずお | |
口を開け湧き水を飲む登山靴 | まさよし | |
喫煙で仲良く並ぶスナップ豌豆 | 岩根彰子 | |
精子ならバグダッド辺りに埋めた | 尾崎良仁 | |
ロボットです凛と立ってる販売機 | 小林祥司 | |
うとうとと眠りに落ちる猫と寝る | 伊藤みこ | |
佳 作 |
ざわざわと胸に詰まった砂糖菓子 | はな |
錆ひとつない軍艦に鳥の糞 | 福村まこと | |
美魔女な晴天ポカポカと惑わす | 畑中玉菜 | |
メロンパンだからといつも許される | 平井美智子 | |
脳みそが揺れる老春謳歌せよ | 敏治 | |
人 | 泡切れの悪さ弁解もうやめる | 藤沢修司 |
評:覚悟を決めた瞬間。やはり覚悟は自分で決めるしかないのです。 | ||
地 | ぴしぴしと冷凍御飯から叱咤 | くに |
評:誰かが冷凍してくれた御飯でしょうか。わだかまりもとかして。 | ||
天 | いくらでも踏んでおくれと竹の艶 | 宮下倖 |
評:自らの役割を受け入れて初めて出てくる艶。私には艶があるか考えさせられた。 |