34名67句 森山文切選 | ||
ツンデレの看板猫が客を呼ぶ | はな | |
入口も出口も遠い恋にいる | むぎのあわ | |
平成に置いて行きたし我が病 | 淡路獏眠 | |
悪政に鼻をつまんで生きる知恵 | 柊無扇 | |
橋あればロマンも消える天の川 | 小林祥司 | |
夕焼けを拾って軒先に吊るす | ホッと射て | |
食べごろかどうか触診するメロン | くに | |
英雄になった気分でするゲーム | 彦翁 | |
わたくしの天辺に居る母の星 | 風間なごみ | |
大家族だからダチョウの卵焼き | 真島芽 | |
ポケットのこぶし震わし見るテレビ | 敏治 | |
転向のように昼から飲まされる | ヨッシー | |
ネズミ小僧の豊かな悪が落ちている | 岩根彰子 | |
充電が済んだらおんぶしてあげる | 真島凉 | |
平成の次へ流されてゆく木偶 | 藤沢修司 | |
避難指示解除する村の夏草 | 菊池洋勝 | |
図書館の裏に文士の高楊枝 | 福村まこと | |
昼顔の口のところが名医の目 | 斎藤秀雄 | |
佳 作 |
不合理へ敏感になる腹の虫 | 八郎 |
マニキュアは遠慮なく赤爪を研ぐ | 阿部千枝子 | |
葬式の間に梅雨が明けていた | 芍薬 | |
耳の裏ばかり見ている試験官 | 西沢葉火 | |
秋簾溲瓶を下げる人を呼ぶ | 菊池洋勝 | |
人 | 親の傘もうスペースはありません | 徳重美恵子 |
評:親はこう言われるのを待っているのかもしれない。 | ||
地 | 関節をひとつ外して梅雨明ける | 尾崎良仁 |
評:ふたつ外せばまた梅雨になる | ||
天 | 時計屋の時間はどこまでも他人 | くみくみ |
評:冷静に考えるとあんなにたくさんの時計がある部屋は怖い。時計屋の時間とは決して仲良くなってはいけない。仲良しになるとあなたは・・・。 |