36名71句 森山文切選 | ||
暑いあついだんだんアツイ棘になる | はな | |
好きな人いるよいないよウフフフフ | 真島芽 | |
働いた汗が呼び水虫刺され | 阿部千枝子 | |
父の家行ったらいつも肉がでる | 青井アダン | |
太陽が往復ビンタする日焼け | まさよし | |
忘れても覚えていますわたくしが | 徳重美恵子 | |
流れまい脚を踏ん張る渡月橋 | 八郎 | |
クレヨンにお祝いされる誕生日 | 海月漂 | |
避難してきたか網戸に付くヤモリ | アゲハ | |
夏休みもう宿題が通せんぼ | 真島芽 | |
再生か屠られていく桃ミカン | 畑中玉菜 | |
美しい狩人の矢だ射られよう | ホッと射て | |
産んだ日の鶏に言えない卵の値 | なごみ | |
酒呑むとスーパーマンになる男 | 冬子 | |
夏休みだからなんだと竹刀振る | 真島凉 | |
向日葵が徹底的に無視をする | 芍薬 | |
マンゴーが届き家族が殺気立つ | くみくみ | |
すれちがう水の匂いのするひとと | よーこ | |
虫入りの飴を飾った世紀末 | 霧島龍 | |
太陽をふたつ身ごもる反抗期 | 福村まこと | |
佳 作 |
月が浮く程度の比重だったのだ | 西沢葉火 |
届きましたか心拍数の乱れ打ち | 岩根彰子 | |
カミングアウト水漏れをするように | くに | |
おそろしい袋にためる押しボタン | 斎藤秀雄 | |
蟻に噛まれた足を切る話聞く | 菊池洋勝 | |
人 | 戻れなくなりたいミステリーツアー | ヨッシー |
評:とか言いながら、本当に戻れなくなったら慰謝料だの何だのという世の中です。 | ||
地 | ベランダのトマトほどにも気取れない | 藤沢修司 |
評:トマトはトマトで「あんたほど気取れねぇよ」と思っているかも。 | ||
天 | 打ち水もされない道が泣いている | 伊藤みこ |
評:乾いた涙 |