47名93句 森山文切選 | ||
吐血下血頑張るって何ですか | くみくみ | |
ハヴァナイスドリル悪夢を蹴散らして | 御殿山みなみ | |
想定外言って重ねる青シート | 田原勝弘 | |
こだわりのシャンプーだから女の子 | 真島芽 | |
ファンファーレなにもはじまらないけれど | toron* | |
こだわりがあって竹刀は五千円 | 真島凉 | |
十分に餌与えても鳴くひよこ | 徳重美恵子 | |
五線譜のト音記号が逃げていく | 冬子 | |
リフォームができぬ私へ風の声 | 小林祥司 | |
嘘ついた口から順に縛られる | はな | |
お散歩の犬自慢気に尾を立てる | アゲハ | |
友達の数より多いミミズ腫れ | 岩倉曰 | |
メガネザル拡大鏡は持ってない | 龍せん | |
殿様にそっと差し出すぶぶ茶漬け | 芍薬 | |
あの人にウインクされるうふふふふ | 八郎 | |
寝る前の数値はかなりちびまる子 | 尾崎良仁 | |
ENEOSで煙草を吸っている河童 | 平出奔 | |
切り札を忍ばせてから焼くスルメ | 畑中玉菜 | |
カンブリア紀の地層フォークで崩す朝 | 麦乃 | |
ブラックリストにホルモンだけが載る | 藤井智史 | |
今夜だけ泣き虫になりたい蜻蛉 | 若枝あらう | |
それはそうとお父ちゃんが沸いている | 岩根彰子 | |
流体の猫が化けたるわらび餅 | 江西レイ | |
耳寄せて枕のなかに過去さがす | 藤沢修司 | |
佳 作 |
図書館に猫と住むのは不便です | あまの太郎 |
ベーコンを焦がし嫉妬を植えつける | 秋鹿町 | |
クレーマー相手にさけぶ赤いペン | ただよう | |
美容室行って松葉ガニで帰る | くに | |
病室の雨は昨日と変わらない | くみくみ | |
人 | カードちらばりトランプマンの帰省 | 斎藤秀雄 |
評:みんな無事でしたか? | ||
地 | 冥王星に住む干からびた男 | 藤井智史 |
評:惑星のままだったら干からびることはなかったのかも。 | ||
天 | 星々の呼称を巡る判決書 | 杉倉葉 |
評:裁判官「星ってあと何個あるんだっけ?」 |
月別アーカイブ: 2018年9月
第127回(2018/9/9-9/15投句分)
50名95句 森山文切選 | ||
ラーメンがあるから明日も大丈夫 | 真島芽 | |
豊漁の秋刀魚を待っている小銭 | 彦翁 | |
お酢ドリンク酷暑へからむ酔っ払い | 芥子 | |
手も足も出せずウィンクする達磨 | 宮坂変哲 | |
愛だけをさがせ俺の言葉から | 秘まんぢ | |
夕立がゲリラに変わる温暖化 | 小林祥司 | |
満足の隙間が愛に飢えている | 八郎 | |
読み方と文化をゆるす放生会 | むぎのあわ | |
一昨日の天気予報が戦犯に | 海月漂 | |
きぬかつぎつるりゴメンネはしない | よーこ | |
やさしさを包み損ねた卵焼き | 秋鹿町 | |
食券をちぎって放る濡れている | 西沢葉火 | |
逆光の胸の谷間に咲いた恋 | 敏治 | |
新潟のロックバンドを食べる蛸 | 平出奔 | |
点Pがこの時空から動かない | toron* | |
三味線に愛されちゃった猫なのよ | いなだ豆乃助 | |
嗚呼秋刀魚人智の及ばざる焦げ目 | 岩根彰子 | |
ゆっくりと空気を抜いたカラスウリ | くに | |
落款のように顔出すヒッチコック | ヨッシー | |
えんぴつの産むぼんやりとした卵 | 斎藤秀雄 | |
悔しくてサラダ記念日また開く | 小俵鱚太 | |
踏み外したものから順に蝶になる | 門脇篤史 | |
学校も自転車小屋も急に秋 | 真島凉 | |
匂い嗅ぐおんな立方体になる | 尾崎良仁 | |
佳 作 |
干し芋はいつも本気で攻めてくる | 畑中玉菜 |
風景として鉄オタに許される | 御殿山みなみ | |
少なめの破線をなぞる雨の日々 | 杉倉葉 | |
季が巡り割れないお皿また使う | 徳重美恵子 | |
駄菓子屋の隅で売られる出会いクジ | 若枝あらう | |
人 | 嫌味には鈍いタイプの能力者 | 岩倉曰 |
評:ニブニブの実でも食べたのでしょうか。食べていなかったとしても十分に通じる表現です。 | ||
地 | 虚無感を訴えている冷蔵庫 | toron* |
評:何か入れてあげましょう。 | ||
天 | ぞうさんみたいに小さくあるこうね | 西沢葉火 |
評:ゾウの歩幅はおよそ150cm。それが小さいか・・・なんて野暮なことを言ってはいけません。 |
第126回(2018/9/2-9/8投句分)
47名89句 森山文切選 | ||
ツイッターすこし黙って雨だから | 芍薬 | |
期限直前とても密度の濃い時間 | アゲハ | |
泣かされた日々を赦して虹をみる | 風間なごみ | |
切手買い幸福感に抱かれる | 龍せん | |
奥の手にみりんを使ってくる姑息 | 浮舟 | |
気遣いの嘘を盛ったり飾ったり | くに | |
辛抱が足りず悪魔の手を借りる | 福村まこと | |
じいちゃんの分まで食べて叱られる | 真島凉 | |
プチプチが知ってしまった二枚舌 | 徳重美恵子 | |
家を出る前に宿命背負い直す | toron* | |
核なくし未来のサルに夢残せ | 柊無扇 | |
ララバイと金の瞳で笑う猫 | 麦乃 | |
ストローの先が吸い込むレモンの黄 | ホッと射て | |
信じると決めたとたんにスライダー | 冬子 | |
じいちゃんの薬をイチゴ味にする | 真島芽 | |
就活にワイシャツの持つ市民権 | 敏治 | |
晩年を泳ぐ自由な雑魚として | 藤沢修司 | |
炎天の自販機前にたむろする | くみくみ | |
特別な日になるはずだった誕生日 | やっこ | |
形見分け一眼レフとナース服 | 愁愁 | |
水かきの膜がやぶれてから九月 | 斎藤秀雄 | |
満月が言ったか言わずかフリーズ | はな | |
月に居るサイレンもなし風もなし | 峰岡名負人 | |
マネキンの呪いが臭うワンピース | 秋鹿町 | |
佳 作 |
貧乏ゆすりするときは甘い桃 | 尾崎良仁 |
ぶんぶんと軍靴あかるいヨーデル | 岩根彰子 | |
店長の頭につけた避雷針 | 須賀琉 | |
極道な草にもあったうぶな頃 | 阿部千枝子 | |
シルバニアファミリーなりの世間体 | たにゆめ | |
人 | ダイコンとイモ第三者委員会 | よーこ |
評:ニンジンはお帰りください。 | ||
地 | 日常の隙間を埋める猫の砂 | あまの太郎 |
評:おしっこかけられそうだけど、いいんだ。隙間だもの。 | ||
天 | 一行詩配水管のひと捻り | ヨッシー |
評:一行って何音字までなんだろう? |
第125回(2018/8/26-9/1投句分)
43名84句 森山文切選 | ||
台風をぽっと産みだす青い海 | 彦翁 | |
豪傑もアルケミストも明朝体 | toron* | |
終電に山高帽の犇めいて | 愁愁 | |
教えない方が教えたことになる | ヨッシー | |
心臓の電源を切り床につく | ぬれおかき | |
暑くても秋は来たよと虫の声 | 田原勝弘 | |
死神はどこで待つのかクエスチョン | 若芽 | |
アンテナに躓きそうな美容室 | はな | |
詫びている夢で無沙汰の人に会う | 峰岡名負人 | |
何ひとつ思い出せないけど元気 | 麦乃 | |
妄想が続くお祈り的時間 | 平井美智子 | |
ララバイのポイント貯まる感謝デー | たにゆめ | |
利き腕で盗んだものは離さない | 冬子 | |
文化圏木の実はタコを拒絶する | 畑中玉菜 | |
新ドラマ粗熱抜けてから観よう | アゲハ | |
偶数のページだけ盗る知能犯 | 芍薬 | |
ふところの鬼が抜け道探してる | 福村まこと | |
台本も編集もない生の声 | 徳重美恵子 | |
ヒーローが堕ちてゆく螺旋の月夜 | 秋鹿町 | |
棘のない薔薇になるから捨てないで | あまの太郎 | |
かざぐるま止めて蛇柄だったとは | 御殿山みなみ | |
あげまんはカレーうどんの刻み揚げ | 岩根彰子 | |
シマウマの白だけを踏むイエス様 | 海月漂 | |
ふところの箱とリボンと輪ゴムと詩 | よーこ | |
佳 作 |
札束に見向きもしない蟻の列 | 敏治 |
ゴキブリの思考回路は無限です | 武良銀茶 | |
二十年熟成させた色眼鏡 | 須賀琉 | |
儒艮食う犬猫猿の痴話喧嘩 | いなだ豆乃助 | |
背番号つけても亀はマイペース | くに | |
人 | 枝豆の形に日焼けするおなか | 岩倉曰 |
評:結果にコミットしてください。 | ||
地 | どもらないで言えるだろうか蝉電話 | 斎藤秀雄 |
評:どもってもばれないんじゃないかな。 | ||
天 | 婚活に牛のゲップを挟まれる | 藤井智史 |
評:挟むのは口だけにしてよね。 |