50名95句 森山文切選 | ||
ほめるから花を咲かせたブロッコリー | くに | |
これが、今、ゴメンな、オレの、精一杯 | サトシワタナベ | |
鰯雲 乾いた空で泳げない | とわさき芽ぐみ | |
シャンプーのボトルのような鳥が二羽 | 笹川諒 | |
可愛いは猫と子供にいう言葉 | 多実果 | |
自分からやめるとやめられるお酒 | ヨッシー | |
お似合いと言われ口喧嘩をやめる | 彦翁 | |
ハッシュタグつけて鬼から隠れる子 | 多舵洋 | |
九時も十六時も同じどん曇り | 田村わごむ | |
母親の笑顔が苦いミルクラテ | 永峰半奈 | |
自由って不自由だよね貯金箱 | アゲハ | |
黙々と生きる毛虫の美しさ | 犬井隆太 | |
水平線ひとふで書きの潔さ | 阿部千枝子 | |
時速80キロと書いた待ち針 | 西沢葉火 | |
性欲を童話の森で初期化する | 福村まこと | |
石橋の下には常に渡し舟 | 岩倉曰 | |
お多福がウインクしてる熊手買う | 八郎 | |
無理強いの果てに輪ゴムが弾け飛ぶ | 藤沢修司 | |
木に残す実を見定める祖父のゆび | 芍薬 | |
薄墨で書かれてるのがあなたです | 尾崎良仁 | |
鍵がないスーツケースの外は雨 | エノモトユミ | |
佳 作 |
バリカンを持つ狩人たちの宴 | 藤井智史 |
試験管さっき人魚が跳ねました | まさよし | |
夕焼けをぼくたちだけで持ち運ぶ | 絵空事廃墟 | |
しんにょうを定年退職晴れて蛇 | 秘まんぢ | |
笑顔でも無表情でもない蝮 | 平出奔 | |
人 | 赤い薔薇かかってこいと曼珠沙華 | 武良銀茶 |
評:これほど挑戦的な曼珠沙華は珍しい。 | ||
地 | そうめんを流す工面のかぐや姫 | 藤井智史 |
評:お見合い話も流したい。 | ||
天 | なしくずし的に丘などやってます | 杉倉葉 |
評:「丘の前?梨山よ、なしやま」 |
月別アーカイブ: 2018年11月
第136回(2018/11/11-11/17投句分)
46名88句 森山文切選 | ||
戦争ゲーム買えばやる気が出る仕事 | 笹川諒 | |
ナメクジの速度で渡る天の川 | あまの太郎 | |
宛先を書かず手紙を食べる牛 | 多舵洋 | |
開花まで足音ふたつ足りぬ春 | 秋鹿町 | |
予約券一枚持って冬に入る | くみくみ | |
紅葉を羽織り銀座をランデブー | 八郎 | |
真っ直ぐに生きたい初心へと曲がる | 藤沢修司 | |
見せあえば鱶がくるのよぶれながら | 亀山朧 | |
白飯に嫁の気持ちを振りかける | 真中北辰 | |
猫バスを予約している帰り道 | 真島凉 | |
聴診器あてて気づいた虹の治癒 | 絵空事廃墟 | |
歳時記に吸われ真冬が死んでゆく | 袴田朱夏 | |
電飾の引き立て役としての闇 | 犬井隆太 | |
雪国に雪が降ったというニュース | 澤井敏治 | |
ト書きにはなかった現場でインタビュー | 岩根彰子 | |
仙人がまた銀行の骨になる | 斎藤秀雄 | |
三日月の親近感は泣きぼくろ | はな | |
一か所が痛んで調子良い体 | 青砥たかこ | |
ほんとうは保存もできる破門僧 | 杉倉葉 | |
すべからく嘘たそがれが綺麗です | toron* | |
佳 作 |
浴槽の屁として消えた人魚姫 | 岩倉曰 |
泡で出るタイプになって見返すわ | 冬子 | |
四次会のちっとも残らないポテト | 御殿山みなみ | |
空間自体を菩薩と間違える | 絵空事廃墟 | |
累積赤字にも見慣れないワルツ | 藤井智史 | |
人 | 白旗は振らぬマタドールの孤独 | 中村佐貴 |
評:しんぶん赤旗を読みながら。 | ||
地 | 無人島たのみもしない紅生姜 | 西沢葉火 |
評:人っぽい何かが作る紅生姜 ぶ | ||
天 | 水っぽいブルー漏電して発火 | くに |
評:くすぶり続ける。 |
第135回(2018/11/4-11/10投句分)
49名96句 森山文切選 | ||
愛に死す今のジュリーに言われても | 阿部千枝子 | |
-○-○- どんな景色の置き忘れ | とわさき芽ぐみ | |
旅先の夜空の星が僕を待つ | 市川雄太 | |
やる事がたくさんあると迷う指 | やっこ | |
繭になる準備こたつにフリースで | アゲハ | |
人を見ず咲いては散って山桜 | 武良銀茶 | |
イチョウには負けたくない東京タワー | 芍薬 | |
ライバルが遠くになっている出番 | 彦翁 | |
静寂に耳を塞いだクリスマス | 日向彼方 | |
やどかりがやどかりを食う小宇宙 | 岩倉曰 | |
巻き爪の第一継承権を持つ | 田村わごむ | |
真ん中を決めて右腕左腕 | 西沢葉火 | |
伝言が芸術的に食い違う | 犬井隆太 | |
地獄絵図なのにホロリとさせる虫 | 小俵鱚太 | |
はじまりを知り飽和するシリカゲル | 秋鹿町 | |
蒐集家のレコード棚に住む芸者 | 香菜 | |
反撃の狼煙のためのおろし金 | 杉倉葉 | |
むささびを淫靡なダウンロードかな | 亀山朧 | |
チャラ男当選のハガキ見て固まる | 尾崎良仁 | |
光から闇からこぼれゆく団員 | 絵空事廃墟 | |
五線譜をまっすぐ進む警告音 | あまの太郎 | |
月皓々衛戍監獄雁渡る | 澤井敏治 | |
忘却を忘れた人が刻むねぎ | 江西レイ | |
ニホンジンナラバヒノマルベントウダ | 藤井智史 | |
佳 作 |
罫線を消せば自由になれる文字 | 冬子 |
やわらかく燃える畳が水の底 | 斎藤秀雄 | |
白昼堂々レモンの爽やかさ | toron* | |
唐揚げを担保に入れて握手会 | あまの太郎 | |
漸化式知っていそうな顔の猫 | 笹川諒 | |
人 | 透明になれば虹呼ぶ水たまり | 青砥たかこ |
評:虹は水たまりから。 | ||
地 | 腹巻が伸びるじゃないか手を離せ | ヨッシー |
評:だっふんだ!! | ||
天 | 素麺を曲げずに茹でる裁判所 | 福村まこと |
評:大きな鍋で。 |
第134回(2018/10/28-11/3投句分)
57名110句 森山文切選 | ||
クリスマスソングに乗せて土下座する | 中村佐貴 | |
デボン紀の洗濯機からもれる砂 | 門脇篤史 | |
換気扇回して外の空気読む | とわさき芽ぐみ | |
思い出を共有すると苦くなる | 青砥たかこ | |
半分に切って本音を覗かせる | 彦翁 | |
わたくしの架空を虎がゆく音か | 亀山朧 | |
鏡台に置いてあったな『桃の花』 | ヨーグルト | |
同僚のタグが気になる午後三時 | 真島朱火 | |
深まる秋父の髪まで霜降りに | 田原勝弘 | |
探偵と部屋干しのハンチング帽 | 小俵鱚太 | |
しばらくは尖ってますと蟹の爪 | 宮下倖 | |
純情な秋刀魚の腹を探る妻 | 多舵洋 | |
明日あたり棒立ちになる銀杏 | 岩根彰子 | |
ぱたぱたのたのときくちびるのさびし | 斎藤秀雄 | |
成否など知らぬ存ぜぬ栗ご飯 | むぎのあわ | |
君の名は巻き舌できんから読めん | 香菜 | |
別の龍しろがねの尿まき散らし | 川合大祐 | |
どつかれて緩衝材のプレッシャー | 冬子 | |
換気扇フェイクニュースを吐き散らす | 藤沢修司 | |
終電車うさぎの耳を付けたまま | 平井美智子 | |
曖昧な返事に溶ける角砂糖 | 福村まこと | |
さりげなく無糖の恋をしています | くに | |
海辺では人魚のはずの魚人たち | 御殿山みなみ | |
ハッピーターンかかげ三日月かえりみち | 真中北辰 | |
佳 作 |
竜宮で踊る魚の生活苦 | 犬井隆太 |
真四角な女の尻に無抵抗 | 阿部千枝子 | |
カラスから任されているビット列 | 絵空事廃墟 | |
ふりかえるたび透明な百合が咲く | 秘まんぢ | |
マンホールの蓋を選んで死ぬ羽虫 | 岩倉曰 | |
人 | キリストの切手を貼って送り出す | 芍薬 |
評:差出人 左の頬 | ||
地 | LAWSONの青が眩しい世紀末 | あまの太郎 |
評:救世主の溜まり場 | ||
天 | ぬかるみを缶ぽっくりのまま進む | 秋鹿町 |
評:かっぽかっぽとはいかないけれど。 |