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55名106句 森山文切選 |
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冬木立巣箱みたいなバー「ひそか」 |
くに |
義理チョコを同意の上で噛み砕く |
あまの太郎 |
沖縄の海にマリッジブルー溶く |
藤井智史 |
たけのこの里だし半裸から全裸 |
未補 |
右側の視界が狭い目玉焼き |
岩倉曰 |
下六のまま助走して春になる |
杏野カヨ |
水槽の濁りにたらればの話 |
いゆ蘭 |
トラウマを笑顔で話す出演者 |
まるち |
雪に隠した赤出汁の反抗期 |
若枝あらう |
妙な猫だね演歌が上手すぎる |
秘まんぢ |
本命にあげるのですか涙ごと |
尾崎良仁 |
陽の当たる場所で金魚が目を覚ます |
彦翁 |
鬼は外涙の跡が消えました |
風間なごみ |
半世紀ほとんどすべて恥ずかしい |
麦乃 |
忘れても忘れられたくない甘え |
青砥たかこ |
口笛に込めた現状への不満 |
小俵鱚太 |
寒木瓜に父の壊れてゆく様よ |
菊池洋勝 |
向日葵に追い回されて夢の橋 |
永峰半奈 |
うつ伏せで幽体離脱しています |
いゆ蘭 |
一斉に飛び立つ鳩時計の鳩 |
がね |
短足が急いで食らうハンバーグ |
l996 |
衣擦れの音して冬が降りてくる |
岩根彰子 |
からあげが嘘を吐いたら春が来る |
平出奔 |
新宿を踏みつけたくて霜柱 |
西沢葉火 |
佳5 |
かにぱんの味を説明できている |
御殿山みなみ |
佳4 |
小指だけ真っ赤に染める年女 |
多舵洋 |
佳3 |
海のある星限定の泣きボクロ |
夜凪柊 |
佳2 |
雪おんなスポーツブラが似合わない |
芍薬 |
佳1 |
電圧をかけて開閉する翼 |
たにゆめ |
人 |
ゆるキャラとならんで覗く炊飯器 |
エノモトユミ |
評:はじめくんとチョロチョロちゃん |
地 |
戦力外通告された流れ星 |
ヨッシー |
評:横浜ベイスターズがアップを始めたようです。 |
天 |
偽物の窓に映ってしまう霊 |
袴田朱夏 |
評:霊「本物と思ってやった。今は反省している。」 |
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天の句、その技と心
偽物の窓に映ってしまう霊 袴田朱夏
まず「偽物の窓」について考える。真っ先に思い浮かべたのはトリックアートの絵の窓である。そこにあるかのように見え窓の向こうの景色が実際に存在しているような感覚になるが、実は単なる壁というやつだ。
ただ、揚句の場合「映ってしまう」であるので、単純な絵ではない。ガラス部分に見ている人が映り込むような加工がしてあるか、ガラスや窓枠はあるが景色だけが絵など、より本物に近い「偽物」と考えられる。
次に「霊」。私は霊感が全くなく、肝試しなどでも怖がらないで淡々と進むタイプで、『お前と肝試ししても面白くない』と言われたことがある。以前は霊の存在を否定していたが、沖縄には霊感の強い人が多く霊の存在がなければ説明できないことをいくつか体験したので、現在では『自分では見えないけど存在はしているかもしれない』と思っている。
現実なのかそうでないのかよく分からない「偽物の窓」と「霊」が、「映る」という現実的な現象で繋げられている。しかも「しまう」なので本来は映るべきものではないのだろう。
私たちが生きていく中でも時折現実感が失われる不思議な瞬間がある。”事実は小説よりも奇なり”という言葉があるが、現実感を失うような瞬間は認識しない方が幸せに生きていけるのかもしれない。そのような不思議な瞬間を感じさせる、不思議な句である。
もう一つ。
「窓に映ってしまう霊」自体が偽物、つまり専門家による鑑定の結果、偽物と断じられた心霊写真や贋作絵画という見方ができますね。
さらに。
霊がニセモノで、それが「ヤバイっ、窓に映っちゃった!」的な、ベタで雑なYouTube動画という見方も。
う~ん、たしかに考えれば考えるほど実存哲学的な思考の沼へ引きこまれそうな不思議な句であります(ヒエロニムス・没)
コメントありがとうございます。
文法的にはそのようにも読めますが、その読みですと偽物と霊はくっつけたいところです。
どちらにしても不思議な魅力のある句ですね。
没のポイント3(おやつリスペクト)
1 誹謗中傷、下ネタ
単なる悪口や下ネタはボツです。意図していなくてもそのように読めてしまう場合もボツになりやすいです。時事ネタなどで思わぬところで誹謗中傷や下ネタになってしまうケースもあるのでご注意を。
2 造語的
一般に使われていない造語的な表現はボツ、になりやすいです。名詞を連発すると造語的になりやすいので、省ける言葉を省いて適切な助詞を使いましょう。
3 その他諸々
ボツキーチョコレート(意味深)
↑1参照