第154回(2019/3/17-2019/3/23投句分)

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天の句、その技と心
没のポイント3(おやつリスペクト)
は少なくとも10月末まで休載です。

51名100句 森山文切選
中指を突き立てているカブトムシ 近江瞬
針先の錆びたルアーを贈られた 西鎮
自分だって道具なんだとランドセル 新井昌広
入れ込んだ代数未だ青いまま 浅井誠章
裏側を覗けば目立つ愛の剥げ 糸篠エリー
消印のようにハッキリしない人 ヨッシー
恋文をしたためている花吹雪 多舵洋
継ぎ接ぎの瞼でちがう夢をみる 大橋凜太郎
もう一度きみに拭かれている机 有村桔梗
何一つ残さず飛んだ羽根餃子 あまの太郎
片雲が神のかたちに似る夜明け 涅槃girl
嘘ついているのね溜息が海 岩根彰子
ラブホから歩いて帰る宇宙人 江西レイ
砕くまで木べらか骨かわからない 岩倉曰
席ひとつ空けている人たちの笑み エノモトユミ
えびせんを人が人愛せるあいだ 斎藤秀雄
目を閉じることもできずに浮く金魚 西沢葉火
懲らしめてみたり責めたり裁いたり 斉尾くにこ
モナリザに正視促すカウンセラー 八郎
オリオン座まみれの服で歩きだす 羽根
五線譜に挟み込む夕張メロン toron*
糸こんの混線で降格処分 若枝あらう
佳5 精霊の探す両性更衣室 福村まこと
佳4 契約書名前の欄にいるミミズ 雪上牡丹餅
佳3 ピアニカを捨てたね起動できないよ 笹川諒
佳2 駅ビルの、平面なはずないんだが 御殿山みなみ
佳1 免許証全然笑わない氏名 芍薬
昼下がり磁気の残っている砂場 いゆ蘭
導入の上五は平凡だが、中七下五で想起させる砂鉄が効いている。最近の公園の砂場には砂鉄はないらしい。
ひところの茄子のかたちで昼寝する 袴田朱夏
「ひところ」が良い。茄子の形や色は、「ころ」の音の響きやイメージ、昼寝とリンクがある。
うさぎ寂しがらせ研究者の真顔 中村佐貴
「研究者の真顔」に対する「うさぎ寂しがらせ」が、残酷すぎず、かといって遠すぎず、絶妙な距離感である。

第153回(2019/3/10-2019/3/16投句分)

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60名118句 森山文切選
じいちゃんの真似はダメよと隠す本 遊楽
内臓に効くテトラポッドのポーズ 岩倉曰
核のゴミまだ使えるゾ未知の熱 柊無扇
こむぎこ、と言えば涙はパンになる 朝野陽々
心地良い春風に乗るブーメラン 彦翁
ハンガーに吊るす無遅刻無欠席 藤井智史
キャンドルが似合う人ばかりの会議 笹川諒
薔薇だけが咲いては枯れる停留所 涅槃girl
やましさに蛍光ペンが加担した 近江瞬
おもいでに並走されている未来 宮下倖
婆ちゃんが縁側で聴くデスメタル ペンギンおじさん
新しい方から順に消える影 あまの太郎
暖冬のあおり心がヨーグルト 青砥たかこ
直線はつらいと蛇行して歩く 小林祥司
人生の出口が動くあみだくじ 武良銀茶
湯麺の矜持に引っ張り出された 尾崎良仁
色刷りの魚拓で覆う壁の穴 福村まこと
もどかしく春を待ってるカメレオン 麦乃
アイテムをひとつ残してドアが開く 馬鈴
業績と共に溶けてく雪だるま 雪上牡丹餅
木蓮を一枚脱がす春の指 斉尾くにこ
裏側の湿りで生きる模範囚 l996
はらこ飯ぼくと心中してほしい 江西レイ
扇風機ト音記号に逆戻り toron*
佳5 水筒にペットボトルの茶を詰める 井上雅代
佳4 トラウマを包む風呂上がりのタオル
佳3 服を着てあるけば町はただの町 平出奔
佳2 銀行員のまま太陽に吠えてみる 秘まんぢ
佳1 税務署の裏で飼われるかたつむり 小俵鱚太
残酷な素うどん煮える老夫婦 浅井誠章
評:素は、時に残酷。
もう一度ら抜き言葉で叱ってよ 夏鵜
評:「アンタ何やってんの!?ら抜きなんて考えれんわ!」
週刊誌捨てる検索された道 いゆ蘭
評:ポイ捨てダメ。ゼッタイ。

第152回(2019/3/3-2019/3/9投句分)

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50名95句 森山文切選
海に浮くペットボトルの中はお茶 たにゆめ
スリッパで叩く男も左利き 小俵鱚太
吸殻で確かめているイライラ度 夜凪柊
しつこいほど聞いて忘れている名前 彦翁
天井がグルグル私さようなら 麦乃
例年のしもやけも無く冬が過ぎ 井上雅代
蟻迫るお菓子の家の借地権 秘まんぢ
煎餅を食べるあなたの後を追う 笹川諒
深海魚ごっこしながら上の空 秋鹿町
風船の萎むロコモシンドローム 菊池洋勝
昔話のどれかがパスタだったとさ 御殿山みなみ
去り際が好きで何度も夜を呼ぶ 絵空事廃墟
お雛様お尻が少し浮いている 雪上牡丹餅
ゾーンに入るロバのパン屋が通る サトシワタナベ
途中からですます調になる喧嘩 いゆ蘭
テンキーを乾かしてから水入らず 斎藤秀雄
素うどんのボスは失敗などしない 浅井誠章
白い軽から降りてくる天使たち 甘酢あんかけ
根回しのネバネバ洗っても落ちぬ 糸篠エリー
母親と苗字の違うチューリップ 夏鵜
類想の鎖を断ち切れぬ恋路 若枝あらう
佳5 玉虫色に生きる毒虫の口笛 犬井隆太
佳4 ハンガーを曲げる独りで生きてゆく 芍薬
佳3 廃港を知らずサンゴの呻き声 澤井敏治
佳2 三日月に異議申し立てするチワワ えや実
佳1 水茄子が平和な水になっていく 小川優
啄木の匂いを消した上野駅 八郎
評:15番線ホームの匂い
泣いてみる金魚の尾びれ借りてみる 斉尾くにこ
評:「あ、背びれは間に合ってます。」
シダを踏む裏切り者が濡れている 西沢葉火
評:カリオテ村にもシダは生えていたか。

第151回(2019/2/24-2019/3/2投句分)

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57名107句 森山文切選
いぬふぐりふみふみしゃう猫の足 斉尾くにこ
CR冬のソナタも冬のまま 小俵鱚太
バスのなか赤ちゃん「オッポ」連呼の意味 サトシワタナベ
懲役を告げるアプリが200円 ペンギンおじさん
先を見すぎてたった一段踏み外す 青砥たかこ
鼻紙の扱い方に癖が出る 馬鈴
蒸しパンを押し潰してもまだ大人 えや実
夕焼けは薔薇泥棒の成れの果て 杏野カヨ
葉っぱ一枚 隠せない恋心 藤井智史
申請が通らず右大臣は無し 絵空事廃墟
こんな日に限ってオセロ連勝す 坂中茱萸
露出狂肌荒れだけは許さない 秋鹿町
鶏卵の殻のもろさは春の声 諏訪灯
鍵束に蜜はないんだ蝶番 棲絵妥ろか
個室から漏れる他人のラブソング 岩倉曰
しらべたら求愛の鳴き声だった 羽根
虫偏をとればスマホは誘我灯 糸篠エリー
正直に生きて傾く屋台骨 彦翁
新卒の右ストレートはるのかぜ あまの太郎
風合いは落ち着いたLINEです 斉尾くにこ
ラブホから予備校までは迷わない 多舵洋
豚トロに積極性で負けている 朝野陽々
にくしみのバター牡丹の咲く感じ 斎藤秀雄
前髪の長さで求愛する族 平出奔
佳5 月見上げ軍手したままブラ外す 涅槃girl
佳4 曖昧な夢を見ているエノキ茸 平井美智子
佳3 胃袋があるかのように食べる父 武良銀茶
佳2 大福はふしだら誰とでも絡む ヨッシー
佳1 愛されることを疑わない新譜 芍薬
ぶらんこの開き直りに気をつける まさよし
評:ぶらんこはよく使われる具象だが、風刺が効いている。
ピンク色のチラシ散らばるだけの春 若枝あらう
評:春は、ソープから。
相合傘ひっくり返し腕相撲 秋鹿町
評:仲がヨロシイようで。

第150回(2019/2/17-2019/2/23投句分)

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69名134句 兵頭全郎選







雨が止みマイノリティーも折りたたむ まるち
考えるベンチに残るよだれ掛け 澤井敏治
筆箱に嗚咽のような花びらを 甘酢あんかけ
報われぬ唇二丁目二番二号 森山文切
冬には冬の速度で落ちる砂時計 笹川諒
左折して三歩で消えた守護天使 秘まんぢ
乱切りの胡瓜頂点から着地 袴田朱夏
昼顔のほんとの顔は土のした 杏野カヨ
耳打ちをせずに見ている絵の女 かつらいす
お茶をぶちまけて慌てて日が沈む 朝野陽々
ペンだこの中身は見ない方がいい 西沢葉火
待つことに慣れて洗濯乾かない 青砥たかこ
プルタブで星をとらえる女子高生 岩倉曰
村中の花棄てられて青い医者 川合大祐
そこだけは水色の大人の事情 斉尾くにこ
服を脱ぐときのもしかしたらお辞儀 御殿山みなみ
君がいたアパートで揺れる野良猫 夜凪柊
偶然逢うかもしれない青いタオル 岩根彰子
あおぞらにたんぽぽひとつひとつとく 有村桔梗
国境を無傷で越えてゆくうどん 多舵洋
菜の花を咲かせるだけの持久走 未補
小便の流れに沿って紙吹雪 秋鹿町
終電で寝過ごしたからガンダーラ 若枝あらう
献血をする人はみな横たわる がね
佳5 約束の土地でスマホが電池切れ 犬井隆太
佳4 夕立のなかを削って軽くする 斎藤秀雄
佳3 嘘をつくたび伸びてゆく左指 あまの太郎
佳2 しがみつくように漢字にルビがある ヨッシー
佳1 避雷針刺して苺は待っている 城水めぐみ
紐パンは寝首を絞めるには細い 森山文切
評:紐パンの存在理由か絞殺道具としての評価か、考えている姿を想像。
いぶし銀ばかり集まる水戸支店 たにゆめ
評:句中にあるいくつかの?がどれも想像しがいのある楽しい句。
弔問のあと寒すぎる宇宙船 秘まんぢ
評:宇宙からの弔問かその後に乗った(乗せられた)のか、寒すぎるのは心か体感か。
森山文切選







雨が止みマイノリティーも折りたたむ まるち
さなぎから出社拒否するアゲハ蝶 犬井隆太
考えるベンチに残るよだれ掛け 澤井敏治
履歴書に流れ星書き祈ります 涅槃girl
宇宙ひも吊るして飾る万国旗 涅槃girl
冬には冬の速度で落ちる砂時計 笹川諒
弔問のあと寒すぎる宇宙船 秘まんぢ
左折して三歩で消えた守護天使 秘まんぢ
ベランダのおじさんからも見える位置 かつらいす
お茶をぶちまけて慌てて日が沈む 朝野陽々
少年のひらくてのひらから鵜舟 斎藤秀雄
ペンだこの中身は見ない方がいい 西沢葉火
きのうからこの世の出口半開き 武良銀茶
しがみつくように漢字にルビがある ヨッシー
信じてた人のマッチが燃え尽きる 尾崎良仁
アハ体験だけどだんだん痩けてゆく 御殿山みなみ
いぶし銀ばかり集まる水戸支店 たにゆめ
訥々と語る人魚が捨てた脚 エノモトユミ
君がいたアパートで揺れる野良猫 夜凪柊
表情も判然とせずグミの熊 馬鈴
ラブドールの背骨を拾う始発前 秋鹿町
絶望も愛も詰め込むマンホール はな
まるつけのじかんにばつをつけられる いゆ蘭
体臭はくっきりと偽バンクシー 城水めぐみ
佳5 プルタブで星をとらえる女子高生 岩倉曰
佳4 スカートの中はいつでも審議中 尾崎良仁
佳3 そこだけは水色の大人の事情 斉尾くにこ
佳2 耳打ちをせずに見ている絵の女 かつらいす
佳1 乱切りの胡瓜頂点から着地 袴田朱夏
国境を無傷で越えてゆくうどん 多舵洋
評:NO BORDER
服を脱ぐときのもしかしたらお辞儀 御殿山みなみ
評:「一回でいいんでお願いします」
避雷針刺して苺は待っている 城水めぐみ
評:受け身の極み