毎週web句会第163回(2019/5/19-2019/5/25投句分)

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天の句、その技と心
没のポイント3(おやつリスペクト)
は少なくとも10月末まで休載です。

58名110句 森山文切選 入選33句
無調整豆乳とだけあるLINE 鴨居
泡立ちの良い石鹸は信じない ヨッシー
緋の月のしたたるように胸の薔薇
退屈がアジの開きに伝播する がね
にゅう麺で豆腐を縛るような嘘 袴田朱夏
クーポンで日サロに通う吸血鬼
パワハラがUターンするかずら橋 木根川八郎
ドーナツの穴から落ちていく評価 雪上牡丹餅
下駄箱にアイスをしまう修行僧 青山祐己
濡れすぎた靴で一蹴り水たまり はんたろう
適齢期過ぎたタニシの独り言 あまの太郎
置き去りにされても走る白い靴 秋鹿町
透明になって蛍を呼んでいる 真島久美子
私だけ記憶の中にナタデココ 夏鵜
当たりピノ集めて繋ぐオリオン座 尾崎飛鳥
空っぽの枝豆である君の服 甘酢あんかけ
モスキート音が今日は聞こえる給料日 アゲハ
ちょっとしたパーティー用に買うパセリ 未補
踊るのに飽きた黒子のコップ酒 彦翁
恋すれば一対一の生魚 杏野カヨ
老い二人精彩を欠く冷蔵庫 村上佳津代
実家から出たがっている袋とじ 浅井誠章
薄闇をかぶって白いオオカミと 斉尾くにこ
力点が緩くて恋になってゆく 真島久美子
思春期のドア闇雲に静電気 糸篠エリー
佳5 前髪を切ってあなたに溺れまい 水谷裕子
佳4 蝶々結びのどこまでを済ませたか いゆ蘭
佳3 ツーブロックに刈って恋せよハリネズミ もーやん
佳2 デイケアの利用者揃う夏祓 菊池洋勝
佳1 煙突の錆が上書きするロマン 西鎮
耳たぶを揉まれて昨日から猫背 斎藤秀雄
ゼッタイ昨日からじゃないヨネ。
三度目のお手で水かき消えた犬 芍薬
「犬」に成り下がったのか、望んでいた飼い主にようやく巡り合えたのか。「犬」のみぞ知る。
ベッドサイド打ち上げられた耳光る 秘まんぢ
上五は「枕元」に置き換えられると思う人もおられるかもしれないが、「枕元」では耳は打ち上げられないし、光らない。「ベッドサイド」だから、打ち上げられ、光る。ベイサイドのホテル、ベッドからの夜景、妖しく光る「あなた」の耳、そんなドラマを感じさせる句である。

毎週web句会第162回(2019/5/12-2019/5/18投句分)

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天の句、その技と心
没のポイント3(おやつリスペクト)
は少なくとも10月末まで休載です。

58名112句 森山文切選 入選34句
アヒージョがミドルネームの研修医 ペンギンおじさん
足掛け二年マンボウが口開くまで 斉尾くにこ
五月では妹子のヒゲが青すぎる 浅井誠章
元カノに似てるユーチューバー やだな 尾崎飛鳥
ぼくの涙は飲用に適さない 朝野陽々
脱皮した気持ちで試着室を出る 彦翁
ヌーディストビーチに惑う原始人 涅槃girl
ローファーの中に真っ赤なスニーカー 鴨居
正論を崩して沖へ逃げる波 糸篠エリー
弁当にしか入らないミニトマト 真島朱火
再会の街と名付けた夜の膳 水谷裕子
引力をバカにしている洗濯機 青山祐己
令和と言われ爺婆なったような気に 田原勝弘
ノイズキャンセリングされる呼吸音 馬鈴
幻覚の囁き無声映画館 福村まこと
ひと部屋に五月生まれの猫と人 有村桔梗
ヨーロッパ/アメリカ風のドライヤー 平出奔
珈琲に参加の可否を決められる 芍薬
根刮ぎにせんよ曇天草むしり 岩根彰子
自称だがフィリップ・マーロウ的微罪 月波与生
ついらくの途中で探すはやぶさ2 よーこ
望郷のスマホケースに非常口 toron*
バリスタが何等星か考える 芍薬
回すのを諦めたペン先に蝶 岩倉曰
養殖の半濁音でひと儲け たにゆめ
当たり屋のポケットに棲むカンガルー 西沢葉火
佳5 火曜日を休んだとたん脱ぐあなた 秘まんぢ
佳4 ブルーシートの中の宇宙は真っ赤 尾崎良仁
佳3 諦めてからが白菜より強い 笹川諒
佳2 骨の浮く肩を見つめるビアホール エノモトユミ
佳1 たまご産む自動販売機のコロン 斉尾くにこ
パレードの空にも波は映らない 袴田朱夏
「わたし」の心にも波は映っていないだろう。
知らないおじさんを母国語で叱る いゆ蘭
「母」と「叱る」の文字列により想起されるイメージが句に好影響を与えている。
肋骨に雨肋骨にあめんぼう 斎藤秀雄
全く同じ七音の繰り返しが非常にテクニカルで、句に深みをもたらしている。

毎週web句会第161回(2019/5/5-2019/5/11投句分)

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天の句、その技と心
没のポイント3(おやつリスペクト)
は少なくとも10月末まで休載です。

54名104句 森山文切選 入選32句
歌姫に何か押しつけ生きてきた 柊無扇
メルカリに「臍」と書かれた紙 二円 有無谷六次元
手を洗い紙を巻き取る愚者の顔 狐ß
左向き崩さず進み焼き魚 尾渡はち
豆飯の残りを包むアルミ箔 菊池洋勝
罪人の夢に出てくる曼珠沙華 水鳥
誕生日また健康の新企画 井上雅代
ブラックホールよどうか私を抱き締めて 澤井敏治
花林檎ゆうべの罪をまっぷたつ 杏野カヨ
口ずさむTo the moonがきみだった 平出奔
カップ麺が山と積まれていて希望 秘まんぢ
独立の宣言をするパンの耳 藤井智史
元カノがタイムラインに咲かす花 あまの太郎
再入荷しましたあなたのそれから 斉尾くにこ
重馬場で泣き出している王様よ 西鎮
幸せな記憶野いちご食べた指 村上佳津代
傘よりも人が少ない牛丼屋 がね
母の日のすずらんに風きてとまる 斎藤秀雄
金網に結束されているバンド よーこ
こめかみをこっくりと打つ鳩時計 ひかる
波際で素数をナンパする水母 福村まこと
番号を書き足して火を靴で消す l996
夏みかん手にした順に露出狂 芍薬
青虫を侍らせている聖五月 岩根彰子
佳5 暴れだす染色体の生真面目さ エノモトユミ
佳4 Wi-Fiが切れて小指が軽くなる 多舵洋
佳3 ハンカチを三枚持って初競馬 笹川諒
佳2 のりたまをかけると方言に戻る 月波与生
佳1 モグラとクジラ屈託のない口喧嘩 斉尾くにこ
幸の字の穴を知らない少年期 いゆ蘭
あの頃はウブだった。
空想の寿司レーンには烏賊がない 小俵鱚太
まあイイカ。
ざらついた入場券の未成年 西沢葉火
ピン札のようにきれいではなく、丸められた紙のようにぐしゃぐしゃでもない。「ざらついた」は未成年とぴったり。入場後もざらついたままでいてほしい。

毎週web句会第160回(2019/4/28-2019/5/4投句分)

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共選につき
天の句、その技と心

没のポイント3(おやつリスペクト)
は休載です。

65名126句 いわさき楊子選 入選35句







不仲説パイナップルに聞く酢豚 まさよし
イエローで描くひと日の左側 toron*
だれも触れなかったバナナの皮のこと 秘まんぢ
信じ方講座から始まる教義 袴田朱夏
天狗から褒められた耳鼻咽喉科 たにゆめ
肩紐はずれてぼんやりメロンパン 斉尾くにこ
夢枯れてかさこそ手のひらの広野 糸篠エリー
連休にこびとに宛てた文届く 西鎮
舐めとった埃の苦さ知ってるか 西鎮
給湯器もエレベーターも喋りすぎ 村上佳津代
淡々とタオルを畳む大富豪 えや実
水平な飛び蹴りが来る痴話喧嘩 ヨッシー
午後五時の音符をしまう通学路 芍薬
副賞は泣けない夜に貼るピエロ 尾崎良仁
月が綺麗きみの正義は負けたんだ 尾崎良仁
両肩に湯気立ちのぼる調律師 小俵鱚太
精液のにおいで起きる夜行バス 小俵鱚太
恋文はローテーブルを傷つける エノモトユミ
変容の真っ只中にあるこけし 笹川諒
敵国のデニムから色落ちするP 月波与生
半返しソヴィエトのある地図だった 月波与生
たまねぎと新たまねぎの小宇宙 有村桔梗
不機嫌な韃靼人は踊らない 朝野陽々
トラウマ社業務日誌に田螺の絵 川合大祐
補助輪と夜の向日葵いらっしゃい 水鳥
コンデンスミルクの罪を被る夜 あまの太郎
三角に折ったのにぼったくりバー いゆ蘭
佳5 インコンビニエンスストア開業です 甘酢あんかけ
佳4 職質を反芻したら甘かった 未補
佳3 砂時計ひっくり返す静かな手 水鳥
佳2 平静を装っている冷奴 尾渡はち
佳1 新元号めでたや御所のまくわうり はな
取調室の葡萄が美しい 杏野カヨ
葡萄は宗教で象徴として使われる。犯罪と取り合わせることで、美しくもある人間の仕方なさをおもう。
右利きへ推敲されるナイフの句 馬鈴
社会詠と断言することもできるが、そうは読まない方が詩としてのふくらみがある。
曼荼羅のポーズで朽ちる観覧車 toron*
曼荼羅と観覧車は似ている。絶対似ている。
森山文切選 入選33句







取調室の葡萄が美しい 杏野カヨ
谷川を流されていく白い布 雪上牡丹餅
美容室帰りと分かる天使の環 真島朱火
信じ方講座から始まる教義 袴田朱夏
はっそうとび蝿虎はシュミーズに のんびりあん
善悪をツイストしたらチョココロネ たにゆめ
天狗から褒められた耳鼻咽喉科 たにゆめ
肩紐はずれてぼんやりメロンパン 斉尾くにこ
ヘルニアの樹にゆっくりと成る葡萄 西沢葉火
夢枯れてかさこそ手のひらの広野 糸篠エリー
真後ろの笑いと脚が揺らすバス l996
給湯器もエレベーターも喋りすぎ 村上佳津代
ロボットの愛憎 瓦解する序列 福村まこと
虹ボタン押してすぐさま捨てる指 斎藤秀雄
はにかんだ表彰台のドブネズミ ペンギンおじさん
キャベジンを忘れずに飲む毒クラゲ ペンギンおじさん
雨降っただけで終わってしまう仲 小林祥司
地下鉄の窓に激突する魚 岩倉曰
半返しソヴィエトのある地図だった 月波与生
たまねぎと新たまねぎの小宇宙 有村桔梗
達磨にもアイライナーを引く配慮 がね
職質を反芻したら甘かった 未補
体当たり恋に押し潰されている 藤井智史
咥えれば指ではないと少女A いゆ蘭
殺せない火はあかあかと蚊の頭 秋鹿町
佳5 淡々とタオルを畳む大富豪 えや実
佳4 アイコンの動物たちと夜を待つ 芍薬
佳3 恋文はローテーブルを傷つける エノモトユミ
佳2 変容の真っ只中にあるこけし 笹川諒
佳1 藤棚の奥へ目当てのとんかつ屋 菊池洋勝
だれも触れなかったバナナの皮のこと 秘まんぢ
バナナの皮が報われない。
副賞は泣けない夜に貼るピエロ 尾崎良仁
貼っても笑えない。
三角に折ったのにぼったくりバー いゆ蘭
「三角に折った」という根拠の弱さ、漠然とした感じと、「ぼったくりバー」の怪しさ、生活圏からの距離にリンクがある。

毎週web句会第159回(2019/4/21-2019/4/27投句分)

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天の句、その技と心
没のポイント3(おやつリスペクト)
は少なくとも10月末まで休載です。

57名109句 森山文切選 入選33句
野球拳強くて支店長になる あまの太郎
ちょっと前から欲しかった系の謎 笹川諒
仕組まれているよう「いいね!」ボタン押す ヨッシー
雨音が心地よくする待ち合わせ まるち
真っ青なキャンバスはみ出した小鳥 青砥たかこ
スーパーのビーフ英語で呼びかける 糸篠エリー
春先に出会う河童はドルを売る 浅井誠章
スコールが古い思い出燃やしきる 水鳥
声帯へきっちり並ぶプロポリス 千仗千紘
キャロライン洋子の真似が夜鳴きそば 月波与生
スペアキー作られほっとしてるドア 小林祥司
上着が忘れられているバネ遊具 l996
完了を押してから読むお品書き 芍薬
満ち足りず毒草育つワンルーム 来栖圭郁
絶叫を聞いて育ったミニトマト 尾渡はち
アイフォンに反りを合わせているシニア 村上佳津代
四五輪で開花四五度で恋になる 斉尾くにこ
ダイソーで追いかけているデカダンス 西鎮
ローファーに草のかけらをつけてゆく 有村桔梗
たぶん敵優雅に舞っていらっしゃる   尾崎良仁
これ以上カイワレになることはない 西沢葉火
連休にお尻のえくぼ探します 斎藤秀雄
Ctrl+Zに慣れて家を買う 若枝あらう
投げつけたシュークリームに蓋がない 千仗千紘
拭き取って捨て去る恋の落とし紙 藤井智史
佳5 味噌餡の分らぬ舌に柏餅 菊池洋勝
佳4 社員証かざし月には帰れない 平出奔
佳3 公園の爪先だっている菖蒲 岩根彰子
佳2 冒険の記録ですから詩ですから 笹川諒
佳1 夜更けまえ潮の香りがする神父 涅槃girl
じゃがいもの皮で作った秘密基地 ペンギンおじさん
なんの皮でもいいじゃないかという意見がありそうだが、じゃがいもの皮だからこそ生まれる秘密基地のイメージがある。
反時計回りに懺悔する林檎 toron*
なんとか皮が切れないように剥ける程度の実力か。皮剥きも世渡りも、上手ではなさそうだ。
まつり縫いする指にふる白い酒 エノモトユミ
まつり縫いと指はつきすぎのように思えるが、後半部分が既視感を消した。言外のイメージの膨らみが心地よい。