天の句、その技と心
没のポイント3(おやつリスペクト)
は少なくとも10月末まで休載です。
58名112句 森山文切選 入選34句 | ||
アヒージョがミドルネームの研修医 | ペンギンおじさん | |
足掛け二年マンボウが口開くまで | 斉尾くにこ | |
五月では妹子のヒゲが青すぎる | 浅井誠章 | |
元カノに似てるユーチューバー やだな | 尾崎飛鳥 | |
ぼくの涙は飲用に適さない | 朝野陽々 | |
脱皮した気持ちで試着室を出る | 彦翁 | |
ヌーディストビーチに惑う原始人 | 涅槃girl | |
ローファーの中に真っ赤なスニーカー | 鴨居 | |
正論を崩して沖へ逃げる波 | 糸篠エリー | |
弁当にしか入らないミニトマト | 真島朱火 | |
再会の街と名付けた夜の膳 | 水谷裕子 | |
引力をバカにしている洗濯機 | 青山祐己 | |
令和と言われ爺婆なったような気に | 田原勝弘 | |
ノイズキャンセリングされる呼吸音 | 馬鈴 | |
幻覚の囁き無声映画館 | 福村まこと | |
ひと部屋に五月生まれの猫と人 | 有村桔梗 | |
ヨーロッパ/アメリカ風のドライヤー | 平出奔 | |
珈琲に参加の可否を決められる | 芍薬 | |
根刮ぎにせんよ曇天草むしり | 岩根彰子 | |
自称だがフィリップ・マーロウ的微罪 | 月波与生 | |
ついらくの途中で探すはやぶさ2 | よーこ | |
望郷のスマホケースに非常口 | toron* | |
バリスタが何等星か考える | 芍薬 | |
回すのを諦めたペン先に蝶 | 岩倉曰 | |
養殖の半濁音でひと儲け | たにゆめ | |
当たり屋のポケットに棲むカンガルー | 西沢葉火 | |
佳5 | 火曜日を休んだとたん脱ぐあなた | 秘まんぢ |
佳4 | ブルーシートの中の宇宙は真っ赤 | 尾崎良仁 |
佳3 | 諦めてからが白菜より強い | 笹川諒 |
佳2 | 骨の浮く肩を見つめるビアホール | エノモトユミ |
佳1 | たまご産む自動販売機のコロン | 斉尾くにこ |
人 | パレードの空にも波は映らない | 袴田朱夏 |
「わたし」の心にも波は映っていないだろう。 | ||
地 | 知らないおじさんを母国語で叱る | いゆ蘭 |
「母」と「叱る」の文字列により想起されるイメージが句に好影響を与えている。 | ||
天 | 肋骨に雨肋骨にあめんぼう | 斎藤秀雄 |
全く同じ七音の繰り返しが非常にテクニカルで、句に深みをもたらしている。 |