毎週web句会第170回(2019/7/7-2019/7/13投句分)

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82名157句 西沢葉火選 入選47句







死角から燕が紐を解いて夏 のんびりあん
枝豆に君の様子を探らせる 水谷裕子
くれないの駆動機関にいて子供 toron*
水鳥の離陸してゆく変声期 toron*
咽せているときのさみしいえら呼吸 安達せきる
最果ての犬小屋前で待っている 宮坂変哲
耳外すマンハッタンの象女 川合大祐
財布には薬一錠あるばかり 入り江わに
テルミンの見えぬ指から再軍備 秘まんぢ
違いますそれは私のかたつむり
人違いでしたと胸に抱いて言う 斎藤秀雄
球体の午後と暮らしてからはだし 斎藤秀雄
こめかみに佇む夏のチェロ奏者 小俵 鱚太
おにぎりを食べるサーファー午後が凪ぐ 小俵 鱚太
歯ブラシの色も決められないくせに 久藤さえ
雑踏に探す息子の夏帽子 菊池洋勝
猫動画ばかり見ているけど死ぬの 菊池洋勝
意気地無しあなたが引いて妊娠線 甘酢あんかけ
恋島に二人取り残されて…Fin 藤井智史
とんかつの脂身だけを食べる父  真島朱火
処女膜の再生速度超える夏 あまの太郎
周波数合わせて夢精する天狗 あまの太郎
口を開け蘇生を待っている動画 宮下 倖
向日葵を握りしめつつ土地を買う えや実
瓶底に歪んだ屋上のフェンス 一音乃遥
曇天の責任とっているカエル 城崎れい
春巻を食べてりつぱな子に育つ 四線蛇
泣いたそばから風になる力持ち み浦よし彦
風のない日の蠅の速度で 平出奔
早朝の電話は訃報かと思う 村上佳津代
踊り場のミントが怖い警備員 未補
夕立が喉に絡んで鳴るチャイム 未補
小蝿死ぬ瞬間上がる手の温度 馬鈴
桃の実の危うさを知る薬指 多舵洋
暗闇のアラーム止める仕事人 るびい
三時まで雨の時間が続きます 有村桔梗
‪さみしいとさむいは似てるレモン味 杏野カヨ
帰れないコーラ吸い込むアスファルト 浅井誠章
水漏れが雨のふりして五万円 がね
佳5 爪伸びる灯を見せていま見せて 千春
佳4 本当のところ白夜に聞いてくれ 千春
佳3 二問目で死ぬサイダーのサイダーさ 佐原キオ
佳2 二字は二字われが狂っていった磁気 川合大祐
佳1 バス停に帽子被せてゆく仕事 多実果
ペコちゃんのルーツを辿る親知らず 安達せきる
授業中打ち上げられたセミクジラ 涅槃girl
標識のシカは8ミリずつ動く えや実
森山文切選 入選41句







死角から燕が紐を解いて夏 のんびりあん
枝豆に君の様子を探らせる 水谷裕子
‪サンダルがホースの水と踊り出す 伊藤みこ
水鳥の離陸してゆく変声期 toron*
授業中打ち上げられたセミクジラ 涅槃girl
ペコちゃんのルーツを辿る親知らず 安達せきる
咽せているときのさみしいえら呼吸 安達せきる
最果ての犬小屋前で待っている 宮坂変哲
海底を彷徨う兵の進化論 福村まこと
耳外すマンハッタンの象女 川合大祐
パワハラも逃げて最後の焼け野原 袴田朱夏
浜に寝て人恋う栓を抜いてやる 糸篠エリー
父親の形に沈むパンケーキ ペンギンおじさん
バス停に帽子被せてゆく仕事 多実果
猛烈な雨に降られる雨蛙 文月
球体の午後と暮らしてからはだし 斎藤秀雄
無口だとTポイントが二倍付く 芍薬
ツバメ来て親だったこと子だったこと 岩根彰子
歯ブラシの色も決められないくせに 久藤さえ
裏方を表に出して次に行く 雪上牡丹餅
とんかつの脂身だけを食べる父  真島朱火
向日葵を握りしめつつ土地を買う えや実
曇天の責任とっているカエル 城崎れい
選挙カー一台も来ず里の夏 城崎れい
泣いたそばから風になる力持ち み浦よし彦
月面に降る恋人の処方箋 み浦よし彦
アボカドをふたつに割って角が立つ 平出奔
歯科に忘れた交換日記 月波与生
小蝿死ぬ瞬間上がる手の温度 馬鈴
殿堂に手招きされる闖入者 るびい
‪さみしいとさむいは似てるレモン味 杏野カヨ
足が速くて婚期がずれてしまう いゆ蘭
吸い殻が椅子の形に組み上がる がね
佳5 反故といふ反故に名句が書いてあり 四線蛇
佳4 輝きを未だ忘れぬ白のWii l996
佳3 踊り場のミントが怖い警備員 未補
佳2 瓶底に歪んだ屋上のフェンス 一音乃遥
佳1 生ぬるい歩廊で閉じる既読無視 真島久美子
猫動画ばかり見ているけど死ぬの 菊池洋勝
二字は二字われが狂っていった磁気 川合大祐
泣くこたねしくじり赦すなめくぢら サトシワタナベ

「毎週web句会第170回(2019/7/7-2019/7/13投句分)」への2件のフィードバック

  1. 天の句、その技と心(海賊版)

    標識のシカは8ミリずつ動く/えや実

    先日CS放送でディズニー映画『バンビ』を観た。幼稚園の時に母親と上映会に行った思い出がある。僕の最も古い映画の記憶の一つだ。
    「8ミリ」からはすぐに8mm映画が連想できた。標識に描かれたシカの絵を少しずつ動かしてフィルムに写す、手作りのアニメーションだ。僕もかつて8mm映画を撮っていた。でももう8mmカメラもフィルムも製造中止になってしまった。
    シカが描かれた黄色い道路標識は、この辺りには道路を横断する動物がいるから注意しなさいという目印だ。標識の後ろにはシカが棲む森が広がっている。しかし、森は少しずつ失われている。もしかしたらシカも絶滅に向かっているのかもしれない。
    以前、息子と化石採集をしている時に、二回ほど野生のシカに出くわしたことがある。一回は崖の上から襲われそうになった。野生のシカはアニメーションとは違う。もっとずっと荒々しく、厳しい。
    世界はやがて消えていくのだろう。自然も、人間も、人間が創った物も、そして「わたし」も、「わたし」の思い出も。
    それでも少しずつ世界を動かしていたい。手作りのアニメーション映画のように。
    この句には、そんな希望があると思った。

    自動車を運転しながらシカの標識を目視して、「わたし」は時速80kmで走り去った。

  2. 平抜き句は到着順です。

    これまで10回ごとに外部から選者をお招きして共選で実施してきましたが、今後は100回ごとにします。次回の共選は第200回です。

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