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38名75句 森山文基選 入選23句 |
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塩サバの日は姉ちゃんがしゃべらない |
真島芽 |
人参を延々しりしり納税者 |
平安まだら |
恋をしたのはしめじが先だ |
朧 |
誰よりもあなたを知っているカラス |
雪上牡丹餅 |
売ってない方の目玉をくださいな |
さこ |
永遠を閉じ込めているコンタクト |
ペンギンおじさん |
居場所なら積乱雲に聞いてくれ |
真島美智子 |
悲しいと決めつけられた国境 |
袴田朱夏 |
公園にアニメの二期が降ってくる |
水城鉄茶 |
二つ目のドアに懺悔の首飾り |
水谷裕子 |
ポケットで丸まっている赤い布 |
西沢葉火 |
お好きでしょうとそこだけ貰うパンの耳 |
斉尾くにこ |
AIに追われる蛇とたわむれる |
忠 |
日潮不等ひとりの部屋の除湿音 |
真島久美子 |
燃えている将棋の駒を跨ぐ猫 |
涅槃girl |
佳5 |
椅子が来て緑の丘に立たされる |
抹茶金魚 |
佳4 |
瞼より花を選んだ深海魚 |
未補 |
佳3 |
日曜の人体模型揺する栗鼠 |
沢江風 |
佳2 |
富士山の見えない方の席を取る |
ヨッシー |
佳1 |
前輪が巻き込んでいる獣の毛 |
西沢葉火 |
人 |
売り切れでホットケーキが作れない |
麦乃 |
地 |
柔らかいものだけ残すオードブル |
由乃 |
天 |
叱られることを分かって食べる桃 |
真島芽 |
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森山様
7月20日に投稿した句は、推敲前のものを間違って送信しましたので、あとで送信しなおしています。お手数をおかけしてすみません。
後からの投句で受け付けました。ご投句ありがとうございました。
以下、ひとつの物の見方であることをお断りしておきます。
塩サバの日は姉ちゃんがしゃべらない 真島芽
叱られることを分かって食べる桃 真島芽
どうも実景のように思えます。大人はなかなかこう素直に詠めるものではないでしょう。そういうインパクトがありました。
誰よりもあなたを知っているカラス 雪上牡丹餅
人間のために住み処を追われ、絶滅しそうになっている生物がたくさんいる中で、ゴキブリやネズミやハエやカは、なかなかに繁殖しています。その中でも最も賢い動物の筆頭格と言えば、カラスでしょう。どこにでもいて、こちらを見透かしたようにアホー、アホーと鳴いています。ひょっとしたら、私が出したゴミ袋をつついてあさり、思いもかけぬものを「宝物」として秘匿しているかもしれません。
売ってない方の目玉をくださいな さこ
人を食ったようなお願いですが、まともに考えれば売っている目玉は義眼。義眼では見えないから、売り物ではない、見える眼玉をくださいな、というのが一つの解釈。もっとぶっ飛んだ見方もできますが、みなまで言うと野暮でしょう。
居場所なら積乱雲に聞いてくれ 真島美智子
積乱雲=台風やゲリラ豪雨のもと。積乱雲=夏の雲。
どういうイメージをもつかによって解釈が変わってきそうです。たとえば、作中主体は夏休みの宿題からエスケープしたのだとも考えられます。
悲しいと決めつけられた国境 袴田朱夏
そういえば文学でも映画でも、国境のこちら側と向こう側は悲劇のネタになります。この句のようにくにざかい、ではなくこっきょう、であればなおさらかもしれません。けれどももし、人の本質が光であるならば、くにざかいに左程の「意味」のない世界が来るのではないでしょうか。
公園にアニメの二期が降ってくる 水城鉄茶
現実の公園がアニメのモデルになることがあります。そういう解釈もできそうです。
二つ目のドアに懺悔の首飾り 水谷裕子
一つ目でないところに相手のプライド(?)を感じました。
日潮不等ひとりの部屋の除湿音 真島久美子
初句と結句が呼応。イレギュラーな出来事には、イレギュラーな心境がつきものです。
燃えている将棋の駒を跨ぐ猫 涅槃girl
父と子か、友人同士か。真剣勝負の将棋の対局をそしらぬ顔で跨いで駒をめちゃめちゃにした猫を想像しました。
売り切れでホットケーキが作れない 麦乃
売り切れでタコ焼きが作れなかったことを思いだしました。
忠さん、いつも愉快なコメントをありがとうございます!
めったに入選しませんが、たまにしてるともしかして忠さんが何か書いてくれるかも!?という淡い期待を持ってしまいますね。(プレッシャーに感じなくてもいいですよ)
私へのコメは思わず吹き出してしまいました。
AIに追われる蛇とたわむれる 忠
何か元があって書いていらっしゃると言ってたので、アダムとイブかなと思いました。楽園追放ではなく蛇と仲良くなったのかも。
麦乃様 ありがとうございました。
わたしもツイッターをしないので、もうすぐここともお別れだと思います。
拙句については、「追われる/蛇と」で切れて対句になるという解釈と、区切れはないという解釈と両方想定しています。いつぞやの「人間の図書館長に握らせる」と同じ構想の中に入っている句で、連作構想が元ネタです。実を言いますと、「失楽園」や、「蛇のフロイト的解釈」も想定内でした。「星の王子さま」もちょっと入っています。
忠さん、句の解釈をありがとうございます。
蛇を嫌う人は多いようですが私はそんなに嫌いではありません。もちろん抱きしめたいほど好きというわけではありませんが、目の前の道路を横切る蛇を見ても「ガンバレ!」とエールを送るタイプです。
今NHK短歌のテーマが「蛇」なのでいくつか考えました。その中に「星の王子様」もあるんですよ。多分入選はしないと思いますが、もし入ったらご報告しますね。