毎週web句会第233回(2020/9/20-2020/9/26投句分)

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46名88句 森山文基選 入選27句
ネットにも「モグラ叩き」を設置する まつもともとこ
エンドロール手にまだ残る缶ビール 澤井敏治
表情にすぐ出る顔が愛される ヨッシー
天国も地獄も昨日行ったじゃん 柊無扇
二十年まえに逃がした亀を拾う 抹茶金魚
ヒゲ付きのメガネをそっと仕舞う夜 中村まふゆ
オプションは土に埋まった潜水士 南方日午
正解はパーいきなりのグータッチ 斉尾くにこ
透明な辞書を抱えた老婦人 西鎮
ばあやから季節外れの虹届き 秋田新屋
ぎりぎりのところイノシシ攻めてくる
思い出に順位付けする解脱前 袴田朱夏
センサーが反応しない丸メガネ さこ
耳打ちをされたピアスが朽ちてゆく ちゅんすけ
マスカラの黒い涙で貼る切手 麦乃
滑舌をなめらかにする波の音 未補
月光を小銭で煽る販売機 福村まこと
黒ひげがポンと飛び出て僕は咲く 尾崎良仁
価値観をぶら下げている五葉松 藤井智史
佳5 村じゅうの蝶を起こして叱られる 史っ
佳4 偏食がかなり偏食たしなめる ヨッシー
佳3 教室に青いパンダの居る悪夢 横井来季
佳2 薄幸なハンカチだって逆上り 颯爽
佳1 落丁も乱丁も好き柿実る 更待月
地下室にラクダが育つ雑貨店 沢江風
新生姜漬ける会社へ就職す 菊池洋勝
図書館で卵握ればすぐ孵る 横井来季

「毎週web句会第233回(2020/9/20-2020/9/26投句分)」への6件のフィードバック

  1. 文基さん、選んでくれてありがとうございます。
     忠さん、コメントありがとうございます。
    自分が投句して、他の方はどのように思ってるのか?その部分に応えて頂き嬉しいです。

     毎回、忠さんは細やかにいろんな角度から入選句に感想されていて、知識豊かで、コメント欄も楽しみにしてます。
     皆様の感性に毎回圧倒されてます。
    そんなこの句会  好きです。

  2. ネットにも「モグラ叩き」を設置する  まつもともとこ
    面白いと思いました。ネット上で匿名でゲリラ的に心無いことを言う人たち=モグラ、という連想がはたらいたせいかもしれません。

    エンドロール手にまだ残る缶ビール  澤井敏治
    エンドロールが終わったら、もう立ちあがらなければならないのに、まだ飲みかけの缶ビールが手元に残っている。映画の世界に没入して、飲み干すどころではなかったのだ。さあどうしよう。

    表情にすぐ出る顔が愛される  ヨッシー
    これは伝統川柳でも披講してもらえそうですね。ポーカーフェイスで何を考えているかわからない人より、気持ちが顔に現れる人の方が安心できます。

    偏食がかなり偏食たしなめる  ヨッシー
    目糞鼻糞を笑う、五十歩百歩の変奏曲でしょうか。本人は真剣でも、はたから見ると可笑しい景を手際よくまとめた川柳だと思いました。

    正解はパーいきなりのグータッチ  斉尾くにこ
    ハイタッチじゃなく、グータッチされた。まあいいか。

    透明な辞書を抱えた老婦人   西鎮
    透明な辞書を戯画として捉えるか、詩情を読み取るかで景が違ってきそうです。個人的には、「はだかの王様」のように騙されたのではなく、目には見えないけれども、長い年月の間に培った、立派な語義変換・参照装置を脳内に蓄えておられるのだと想像したいと思います。

    ばあやから季節外れの虹届き  秋田新屋
    季節はずれ、虹、というのがいかにもばあやらしくて好きです。

    ぎりぎりのところイノシシ攻めてくる   忠
    句会で没になった方を拾っていただいた神さまに感謝します。

    思い出に順位付けする解脱前  袴田朱夏
    解脱してしまったら、俗世、濁世の思い出などどうでもよくなるかもしれません。その前に、ということでしょうか。

    マスカラの黒い涙で貼る切手  麦乃
    別れの手紙でしょうか。切手を貼って出すのだけれど、涙がぽたりと切手の裏側に落ちて、濡らす必要もなくなってしまった。黒いマスカラから、作中主体が女性であることがわかります。

    滑舌をなめらかにする波の音  未補
    作中主体の滑舌が悪いのは、多分に心理的なものかもしれません。
    1/fゆらぎの波の音を聴いているうちに、本来の自分を取り戻したのでしょうか。

    黒ひげがポンと飛び出て僕は咲く  尾崎良仁
    黒ひげ危機一髪でしょうか。緊迫してきた空気の中、僕の一突きで黒ひげが出てしまった。思わずワッとなった様子が「咲く」なのかもしれません。

    地下室にラクダが育つ雑貨店  沢江風
    理屈抜きでビジョンが面白いと思った句です。ウサギ、カエル、トンボ、蝶々、きつね、たぬき…どれも面白くないですね。雑貨店の「雑」の字が、また猥雑と言いますか、なんでも受け入れる包容力を表しているような気がしました。

    教室に青いパンダの居る悪夢  横井来季
    こういう言葉の組合わせは凄いなと思いました。確かに悪夢かもしれません。でもこれを幻覚だと解すると途端につまらなくなりますね。

    図書館で卵握ればすぐ孵る  横井来季
    図書館は知の殿堂です。すでにある知を集積するのみならず、そこから新たな知が生まれる孵卵器でもあります。産む(表現する)のは、もちろん人の手です。

    他の句も面白かったですが、この辺にしておきます。失礼しました。

    1. 忠さん、コメントをありがとうございます。
      なんだか忠さんのコメント欲しさに最近はできるだけ入選したいと思うワタクシです。笑

      ☆ぎりぎりのところイノシシ攻めてくる   忠

      う~~ん。。。ワタクシには難解句ですね。普通の人にはちょっとわからないかも。森山さんだから取られる句なのかもしれません。

      1. 麦乃様
        コメントありがとうございました。

        ぎりぎりのところイノシシ攻めてくる

        伝統句会にこれを出したのは、同じ田舎の人だからわかっていただけるだろうというのがあったのです。
        イノシシは熊と同じように野生動物で、人と棲み分けができています。ところが、少子高齢化、限界集落で、里山の野生動物撃体力が弱くなってくると、畑の作物を狙って、人間に捕まるか捕まらないかギリギリのところを攻めてくるようになります。温暖化で、生まれた子供(ウリ坊)が凍死せずに生き残って繁殖していることも、その傾向に拍車をかけています。イノシシと人間の鬩ぎあい。地元の新聞でも問題になっているのに、それくらいのことは察してよ、それとも察して没にしているのかしら、などと悶々としていた句でした。

          1. 忠さん、丁寧な句のご説明ありがとうございます。
            なるほど。そういう句意でしたか。
            確かにイノシシは最近は都会の公園や人家にも表れ、警察官たちとの捕り物ちょうで賑わっています。イノシシも熊も生きるのに必死です。地球の住処の生命体も変化してこれからどうなっていくのでしょう。いろいろなことがとても不安です。

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