46名88句 森山文基選 入選18句 | ||
トランプがそろそろ別の国に行く | 柊無扇 | |
俺俺と言うから信じない伝記 | まつもともとこ | |
ご機嫌をとっても笑わないスープ | ちゅんすけ | |
ニンニクに生姜を返すバカップル | 藤井智史 | |
開かない傘だけ濡れる昼下がり | 浅井誠章 | |
母さんの犬種差別が止まらない | 水城鉄茶 | |
世の中が再放送に見えてくる | ヨッシー | |
飲みかけのペットボトルを投げ返す | 西鎮 | |
スプーンで撫でていいのは鯨だけ | あさふろ | |
使われず捨てられもせず日焼け止め | 永峰半奈 | |
佳5 | 紫陽花は泣いていたのね二人分 | 杏野カヨ |
佳4 | 二重まぶたの展示会場 | 朧 |
佳3 | 新しい桟橋にふさわしく恋 | 袴田朱夏 |
佳2 | 冗談と叫び続けるゴミ置き場 | 朧 |
佳1 | 伊予柑の固さ確かめ薬指 | 永峰半奈 |
人 | 海底の思案のひとはモスクワ育ち | 斎藤秀雄 |
地 | 悔しいと黙るタイプのウォシュレット | さこ |
天 | じゃない方だから鏡を持ち歩く | 尾崎良仁 |
忠さん
ちょっと関係ない話で恐縮ですが、「うたの日」では私は「花代」で参加していました。楽しい歌会でしたがあまり長くは在籍していません。(とにかく今は好奇心という潤滑油が枯渇しております)
むか~~~し、「夜はぷちぷちケータイ短歌」というNHKラジオ番組があったのですがご存じですか?MC、アナウンサー、歌人(毎週違う)、タレントや精神学者など誰かひとり招待(毎週違う)の3人がそれぞれ毎週送られてくる短歌を選びワイワイと討論するそれは賑やかな心躍る番組でした。
短歌以外にもいろいろ愉快な企画番組がたくさんありましたが、なぜか今は存在しません。ご時世でしょうか。残念ですが、まあワタクシの好奇心も今はありませんので仕方ないですね。
関係ない話をたくさんしました。失礼しました。
麦乃様
ありがとうございました。ラジオはあまり聞かないのでその番組は知りませんでした。ここの句会とも(閲覧は続けますが)もうすぐお別れです。ただ麦乃さんが僕の文章を読みたければ、うたの日にお越しいただければ、おそらく毎日、どこかの部屋で読むことができます。
それでは、参りましょうか。
トランプがそろそろ別の国に行く 柊無扇
今回の大統領選挙で、マスコミの偏向報道はひどかったと思いますが、トランプを応援した人にもそうでない人にも腑に落ちる句でしょう。解釈の多様性というのはそういうものだと思います。
母さんの犬種差別が止まらない 水城鉄茶
人種差別と掛けたユーモアが効いています。
世の中が再放送に見えてくる ヨッシー
マスクやティッシュペーパーが店頭から消えた時、オイルショックの頃を思い出しました。歴史は繰り返すと言いますが、歴史に学ぶほど賢くないのが人の性なのかもしれません。
スプーンで撫でていいのは鯨だけ あさふろ
ポリシーでしょうか。面白いと思いました。
新しい桟橋にふさわしく恋 袴田朱夏
個人的には、古い桟橋には中高年の思い出の恋が、新しい桟橋には若いカップルの恋が似合うと思います。
冗談と叫び続けるゴミ置き場 朧
ゴミ置き場が、ではなくゴミ置き場で、と解釈しました。粗大ごみとして捨てられて、必死に叫んでいるのかもしれません。
海底の思案のひとはモスクワ育ち 斎藤秀雄
海底は隠されたところにあります。そしてモスクワと言えばかつては鉄のカーテンがありました。また、モスクワ生まれのロシア文学の巨匠ドストエフスキイは思索的な長編小説を数多く残しています。「思案のひと」の正体はわかりませんが、まこと似つかわしい句だと思いました。
悔しいと黙るタイプのウォシュレット さこ
喋るタイプのをウォシュレットもあることが暗示されています。
じゃない方だから鏡を持ち歩く 尾崎良仁
ペンネームを拝見すると作者は男性のようですが、女性の作中主体を想像しました。たとえば素顔が「美人」じゃないほうだ(と本人が思っている)から、化粧が上手く整っているかチェックするために鏡を持ち歩いているのだと。
【定期コメント】掲載順
1句目、2句目はユーモア、時事吟など比較的インパクトがあると判断した句で、平抜き上位と同じくらいの評価
3句目が入選句の中では一番下と評価した句で、3句目以降は下に行くほど順に良いと判断した句です。