2020年7月24日
題「蓋」 森山盛桜、森山文基共選
44名85句
【投句要項】
・没の理由も議論するため、没句も含め全投句及びその作者名が公開されます。入選句と没句数句ずつを議論の対象とします。対象句は選者が決めますが、時間が許す限り視聴者の方の意見も反映します。
・没句は投句いただいたまま掲載します。事前に誤字脱字等がないかよくご確認の上ご投句ください。
「蓋」森山盛桜選 入選21句 | ||
敗走の兵が蓋とる玉手箱 | 福村まこと | |
嫉妬深いジャム瓶の蓋すげ替える | 愁愁 | |
ジューシーな私を保つ蓋がない | 水品団石 | |
天蓋のついたベッドで泳ぐ夢 | otomi | |
耳たぶに土鍋の蓋と同じ穴 | あさふろ | |
その蓋は口だけだから気をつけて | 朧 | |
水のりの蓋が旅から帰らない | 真島凉 | |
瘡蓋を剥げばむかしに叱られる | 静子 | |
蓋取れたみたいに笑う赤い夏 | 水城鉄茶 | |
クッキーの蓋を開ければサインペン | 真島芽 | |
嘲りがイオンチャネルに蓋をする | 袴田朱夏 | |
蓋をする あたしの骨が咲くところ | 史 | |
しっかりと洗って捨てる仮の蓋 | よーこ | |
佳5 | 替蓋がどうして私なのと訊く | 心咲 |
佳4 | 運命に蓋してからの自由席 | 山口亮栄 |
佳3 | 蓋取って確かめている僕の位置 | 横尾信雄 |
佳2 | 意に添わぬ時は蓋してソリチュード | 水谷裕子 |
佳1 | 透明な蓋が呼吸を閉じている | 西沢葉火 |
人 | 放たれて膨張コルク栓の自我 | 心咲 |
地 | 私の人生決めたあの「蓋し」 | 雪上牡丹餅 |
天 | 印籠のなかは牛乳瓶の蓋 | あさふろ |
軸 | 蓋を取るだけならこれでコイントス | |
「蓋」森山文基選 入選22句 | ||
その蓋は口だけだから気をつけて | 朧 | |
印籠のなかは牛乳瓶の蓋 | あさふろ | |
鍋が鰓呼吸している落し蓋 | ヨッシー | |
自分史に蓋をかぶせる二十代 | 鶴田のりあき | |
クッキーの蓋を開ければサインペン | 真島芽 | |
蓋少しずらして足を組んでいる | よーこ | |
雨蓋の裏から宇宙船が出る | 真島久美子 | |
蓋付のお椀むかしを語り出す | 静子 | |
プーさんの口にも蓋をする恋は | 真島凉 | |
蓋付きの容器蓋だけ見つからず | 田中雅代 | |
蓋のない容器にばかり懐かれる | ほのふわり | |
雨の日は雨のリズムの鍋の蓋 | 江川寿美枝 | |
敗走の兵が蓋とる玉手箱 | 福村まこと | |
ピッチリと蓋をしめれぬ指のしわ | 松尾雅子 | |
佳5 | 父さんを父さんと呼ぶ竹の蓋 | 真島久美子 |
佳4 | 蓋をする窒息するか打破するか | 加藤当白 |
佳3 | しっかりと洗って捨てる仮の蓋 | よーこ |
佳2 | 糠床の蓋としゃべっていたキュウリ | 佐藤邦子 |
佳1 | 嫉妬深いジャム瓶の蓋すげ替える | 愁愁 |
人 | 鉛筆のキャップ少女は折れやすい | 水品団石 |
地 | 放たれて膨張コルク栓の自我 | 心咲 |
天 | 風呂の蓋立てかけてもう帰れない | 西鎮 |
軸 | 蓋をされたままはだけているボトル | |
両選者没49句(順不同) | ||
鍋の底合わない蓋が沈んでる | たお | |
大小の蓋をバッグにしのばせる | たお | |
臭いものに蓋して圧力をかける | 雪上牡丹餅 | |
その皿は河童としては蓋でした | 朧 | |
生爪を気遣いながら蓋を剥ぐ | 西沢葉火 | |
不確かに蓋をしている二人の手 | ペンギンおじさん | |
ヤクルトの蓋へと宿るリアリティ | ペンギンおじさん | |
拡がった穴しなかった蓋の罪 | 加藤当白 | |
みどり児に風は見えない蓋として | 袴田朱夏 | |
蓋に蓋やっと静かになりました | 文雄 | |
蓋がないサランラップに助けられ | 文雄 | |
蓋とれば私を酔わすブルガリよ | 角田幸美 | |
割れ鍋に綴じ蓋よあなたと私 | 角田幸美 | |
マンホール蓋の中にも住む小人 | otomi | |
そっと開け飛出る動悸百を刺す | よしはる | |
落とし蓋内で魚のクッタクタ | よしはる | |
角隠し蓋落とされる新妻よ | 田中雅代 | |
口に蓋つけておきたい妻である | 真島美智子 | |
吸物の蓋がガンコを通してる | 真島美智子 | |
我県は有田焼ですマンホール | 原加代子 | |
痛かった夏の思い出かさ蓋が | 原加代子 | |
蜂蜜の蓋じいちゃんも隠れ開け | 佐藤久仁子 | |
香水の蓋を時々もて遊ぶ | 佐藤久仁子 | |
綴じ蓋の裏に貼られたラブレター | 涅槃girl | |
暑すぎる地球にそっと蓋をする | 涅槃girl | |
箱舟に水母の遍路蓋される | 福村まこと | |
夏風邪に蓋してカゼが七変化 | 水谷裕子 | |
ひと摘み伏線甘く煮含める | 亜湖 | |
殺生が溢れ出てくるマンホール | 亜湖 | |
かさぶたを剥くために当たり屋になる | 水城鉄茶 | |
街なかに蠅帳があるエアドーム | ヨッシー | |
メロンパンひとつ輪廻に蓋をする | 愁愁 | |
くさい物に蓋親ゆずりの性格で | 鶴田のりあき | |
蓋しても悪事は洩れる針の穴 | 野田豊秋 | |
いやな過去フラッシュバック蘇る | 野田豊秋 | |
方舟の蓋を忘れてきた野心 | 山口亮栄 | |
蓋してもしても吹き出すスキャンダル | 西川邦英 | |
蓋をして口を拭っている油断 | 西川邦英 | |
蓋開けてビックリタコがみんな立ち | 佐藤邦子 | |
おとし蓋母の気のまま味のまま | 土井洋子 | |
鍋蓋の中は地獄か天国か | 土井洋子 | |
カサブタになってしまった苦い恋 | 横尾信雄 | |
内蓋を剥がせば滲む緑潮 | 抹茶金魚 | |
浴槽に蓋をしてまっくらなお湯 | 抹茶金魚 | |
鍋蓋を合わせてシンバル我が息子 | 奈未 | |
蓋をする事件は迷宮入りの家 | 奈未 | |
ご機嫌をうかがっている茶碗蒸し | 真島芽 | |
身も蓋も内科も椅子も釘もない | ほのふわり | |
きつすぎるキャップねじってひかる星 | 西鎮 |